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Vol.0012■初めての食事 2004年11月9日
今度はソファーの下にもぐりこんだ。テレビの後はさっき見つかったのでやめといた。キャビネットはドアのすき間がほとんどなくなっていて、もう入れなかった。とっさの時でも、これぐらいのことは考えてる。家の中はシーンとしたままで、アイツらが戻ってくる気配はない。さっきはあんなに大騒ぎしてたのに、訳がわからない。

でも慎重を期して、おいらはそのまま毛づくろいを始めた。濡れた毛を舐めると、少しずつでもミルクが口に入ってくる。渇きと空腹が少しは癒されるようだった。でも舌を出してあごを動かし続けていると、ますますお腹がすいてくる。アニキが戻ってきたらしく、おいらもソファーの下から出てみた。

2匹で示し合わせるようにキッチンへ。こぼれたミルクがうまい具合に新聞にしみている。おいらたちはあわててそれを舐めた。吸えるものなら吸いたいけど、とてもそんな量じゃなかった。それにどんどん紙の中に入ってしまうらしく、だんだん舌に触るのが紙の感触だけになった。

それでもガサゴソやっていると、なにかの拍子で新聞の下にも顔が入った。床もミルクで濡れている。これもまた必死で舐めた。気がつくとアニキが生臭い食べ物のボールに足をかけて中をのぞいている。ママはいろんな食べ物を食べてたから、いつかおいらたちもなにかを食べるんだろうと思ってたけど、そんな日がこんなに早く来るとは!

アニキはとうとう顔を突っ込み、舐め始めた。おいらも真似してみた。吸ってもうまくいかないから、舐めるしかない。ボールは斜めになったものの、今度はひっくり返らなかった。けっきょく、舐められるだけのミルクを舐め、食べ物も舐め、たいしてお腹もいっぱいにならないのにヘトヘトだった。

これがこれからの食事なのか?喉がかわいた。初めてミルクではなく水が欲しいと思った。でも、どこにもなかった。おいらはアニキを誘い、ソファーの下にもぐりこんだ。ひんやりした床が寝るのにはちょうどいい。とにかく疲れて眠くて、夜だというのに眠りこけてしまった。(つづく)
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