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Vol.0017■9ヶ月 2004年11月26日
おいらが悪性リンパ腫というガンになってるのがわかってから、9ヶ月経った。先生のドリスは、「化学療法をしなかったら3ヶ月、しても6ヶ月の命。それも保証の限りじゃない」って言ってたらしいけど、どっこいおいらは今でも生きてる。どこも痛くないし、苦しくもない。まぁ、ガンが見つかった時も別にどうってこたぁなかった。ちょっと息がしにくかったぐらいかな? なので今、ガンがどうなってんのかはわかんない。ただ毎日旨いもん食って元気にしてるぜ。

おいらは化学療法でとんでもない薬を飲まされた。からだの中が焼けつくようだった。あの時のことはあんまり覚えてないけど、喉のあたりに火があった。熱くて熱くて何度も何度も吐き出そうとしたけど、もっと苦しくなるだけで火は出てかない。そのうち、喉を絞るちからもなくなって、なにも見えなくなった。アイツの声だけが時々聞こえたけど、なんだか遠いところから呼ばれてるようで、それもだんだん聞こえなくなった。

「このまま死ぬんだ」とわかった。怖くはなかった。ただただ苦しかった。この苦しさが終わるんだったら、死ぬのもいいかなと思った。アニキ・・・アイツ・・・連れ合い・・・アイツらと一緒に住んでておいらの世話をしてくれてたやさしいジーナ・・・子どもたち・・・ずっと昔のママ・・・。思い出すこともあんまりなかった。いつもアニキがいてアイツらがいて・・・おいらの毎日はずっとおんなじだった。

「もう、それが終わんのか」と思った時、「ピッピー!ピッピー!」というアイツの声が近づいてきた。おいらのからだはもう動かなかったし、なにも見えない。ただ、アイツがおいらを抱き上げたような気がした。「ピッピー!ピッピー!」声が聞こえる・・・ってことは、まだ死んでないのか。本当にそうでもなけりゃ、死んでるのか生きてるのか、わかんなかった。

「ピッピー!ピッピー!」次にアイツの声が聞こえた時、あたりは明るくなってた。朝だ。目は見えなかったけど、明るいのはわかった。おいらは死ななかった。火はまだ燃えてたけど、小さくなってた。またアイツに抱き上げられたような気がした。「死なないのも、いいかな」と思った。あれから9ヶ月。生きてんのも、わるくないぜ。(つづく)
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