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Vol.0030■噛みネコ 2005年1月11日
アイツが何者でもよかった。とにかく、さらわれてきた当時のおいらたちには、"相手"が必要だった。好奇心のかたまりのようだった頃。特に"動く相手"が欲しかった。アイツの耳たぶをママのおっぱい代わりに吸いながら、目の前で揺れる髪の毛にじゃれついてはつかんでみようとしたり、やたらに動く手の指に飛びかかっては組み伏す練習をしてみたり・・・と、アイツを"相手"にいろいろ遊んだ。

指はいい"相手"だったけど、とにかく高いところにありすぎた。アイツが座ってジッとしてる時しか遊べない。だからおいらたちにとって、自然と目に入ってくる"動く相手"は足だった。手よりデカいし、かたちに面白味はないけど、とにかくよく動く。なんたって二本しかないから、パタパタバタバタ音まで立てて、目の前を行ったり来たり。

それを見てると、おいらたちを踏み潰せるくらいデカいのに、無性に捕まえたくなってくる。後ろからそ〜っと忍び寄り、ふと立ち止まった瞬間を狙ってパッと飛びつく。「やった!仕留めた!」と思ったとたん、「ギャーァァァァ!!!」とアイツはとんでもない声を出し、足を振る。おいらは振り落とされないようにグッと爪に力を入れる。すると、「イッターーーーー」と言ってクレーンのようなデカい手が降ってきて、おいらを引き剥がす。

「どうすんのよー!これから会社行くっていうのに、ストッキングが伝染しちゃったじゃなーい!!!」と、目を吊り上げてプリプリ怒るアイツ。勝ったつもりだったけど、なんだかパッとしない。飛びかかって誘ってんだからギャーギャー言わないで、反撃して欲しいんだけどなぁ。でも、アイツは文句を言うばかり。

そこでおいらも一応考えてみる。「そっか。飛びかかるのがダメなのか。」そこで次は、よく動く足の中でも特にチョコチョコ動いて見える、かかとを狙った。ガブッ! 今度は思いっきり噛みついてみる。歯もかゆい時期だし、これはいい・・・と、思った瞬間、再び「ギャーァァァァ!!!履き替えたストッキングがぁーーーー」と、またまた文句。アイツらしか相手のいない、おいらたちの身にもなってくれよ〜。(つづく)

(↑毎日ヒマなんだよね〜、根本的に・・ブツブツ)
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