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Vol.0032■舐めすぎて・・・ 2005年1月18日
アイツの親指の付け根のふっくらしたところを舐め続けて10年。おいらは舐める時、爪を出してしっかり押さえつけないと気がすまない。というか、そういう風にしかできない。アイツの手首にはよくミミズ腫れができ、そのたびにこぴっどく文句を言われた。アイツは「いつになったら爪を出さずに舐められるようになるのよ〜」とブツブツ言って、すぐに手を引っ込めてしまう。だからほんの数分しか舐められなかった。

アニキは柔らかい肉球を押し付けて、指先を吸っていたのでウケが良かった。時にはアニキが手の上、おいらが下と二手に分れ、2匹でチュパチュパペロペロ違う音を立てたりしてた。おいらの数分に比べ、アニキはアイツがビデオ一本見終わるまで吸い続けたこともあった。痛くないのでアイツも放っといた。ソファーにはアニキのよだれで丸いシミができ、アイツの指先は白くシワシワになり、アニキは口がワナワナして閉まらなくなった。

「ネコにもストレスってあるのかしらね? これで発散してるのかな?」と、アイツはよく言っていた。ストレスがなんなのか、おいらにはもちろんわからない。とにかくおいらたちはなにも持ってない。でもストレスが「もっと舐めたい」という気持ちのことだったら、おいらには少しあったかもしれない。

そのうち、おいらはビニール袋を舐めるようになった。アイツらが買い物から帰ってくるたびにドサッとキッチンに置くアレだ。手で持つところにアイツの手の匂いが残ってた。鼻を近づけて匂いをかいでたおいらは、ある日ふとそこを舐めてみた。なんとも言えない味がした。よく知ってる手の匂いと、ぜんぜん違う不思議な味の組み合わせに驚いた。ちょっと粉っぽい袋もあった。ユラユラしてる感じが、かじりたくて仕方ない葉っぱにも似てた。いつしかおいらはビニールの虜になり、見つけるたびに夢中で舐めた。

「ピッピー!ダメじゃな〜い。そんなもん舐めてー」 始めはクスクス笑って見てたアイツもだんだん心配になってきたのか、舐めてる袋を取り上げ、どこかにしまったり高いところに置き代えたりしだした。でも探せば家のあちこちに袋があったので、おいらは困らなかった。シャッシャッシャッ・・・と音を立てながら舐めてると、「ピッピ、ダメ!ガンになるよっ!」と、聞きつけたアイツが飛んできた。そして、おいらは本当にガンになっちまったんだ。
(つづく)
(↑2時間も舐め続けて口がしびれたヤツ!)

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