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Vol.0047■おいらが話せる訳−二本足の可能性 2005年3月12日
あれはおいらがガンになって、初めて化学療法とかで、薬を飲まされた時だった。おいらは獣医にドリスのところにいた。連れてきたアイツは、「がんばるのよ、ピッピ!」と言ってギュッと抱きしめると帰っていった。ずっとそこにいなけりゃならないとわかると、たまんなかった。嫌だった。ドリスはいいけど、他の四つ足の臭いや声。首の回りに妙なモノを巻いたヨボヨボのイヌまでいて、本当に嫌だった。

「ニャー」 おいらはアイツを呼んだ。いないとわかってたけど、呼んだ。そこから出して家に連れてって欲しかった。その時は苦しくもなんともなかったから、「なんでこんなとこにいなくちゃいけないんだ?」と、ただただ家に帰りたかった。ドリスがおいらを台に載せて手袋をはめた手でいろいろチェックした。痛くはなかったけど、台は冷たいし、手袋はヘンな臭いだし、本当に嫌だった。

何回かチェックがあってとうとう妙な薬を飲まされた。確か一個だったと思う。いきなり喉に放りこまれるから、なにを飲んだのかさえわかんない。ヘンな味が喉から口の中に上がってきてそれが"妙なもの"だとわかった。でもあまりにも小さくて吐き出すこともできない。手に注射を挿され、あの後何回もしたテンテキをさせられた。かごに入れられ、どうにもならなかった。

(←おいら@闘病中。あんまり覚えてない頃)

仕方ないのでアイツが持ってきたタオルにうずくまり、うつらうつらしていた。薬のせいもあって、なんだかいつもより頭が重かった。おいらは家に帰ることにした。とにかく帰りたかった。からだごとは帰れないので、気持ちだけで行くことにした。おいらたちはこういうことができる。前にもこんな話をしなかったっけ? アイツらにさらわれてきた頃は、こうやってママに会いに行ってたもんだ。

帰ってみると、アニキがソファーにいた。「おや?」と思ったようだけど、そのまま動かなかった。廊下を歩いていくと、最初のドアが開いていて、アイツが中でコンピュータの前に座ってカタカタやっていた。いつものことだ。おいらはそれをドアの外から見ていた。その時、急にあいつがおいらの方を見たんだ。まるで見えてるように!(つづく)
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