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Vol.0059■おいらが話せる訳−伝言 2005年4月22日
「そうだ! 二本足は話すんだ! 話すんだからこっちも話せばいい。」 おいらは必死で考えた。話す、話す、話す・・・でもおいらには、アイツらみたいに口を開けたり閉じたりしていろいろな音を出しながら話すこたあできない。おいらたちも簡単にはものを言えるんだけど、アイツらにはみんな「ニャー」としか聞こえないらしい。どうやって話せばいいんだ・・・どう言えばいいんだ・・・。

アイツらの話は、たくさんある音のつながりで意味が出てくる。それぐらいはおいらも知ってる。でもその音が出せないんだから、聞こえない音をどう伝えるか。これはもう交信と同じやり方で、思うしかない。音にはできない。でも、いつもと同じ交信じゃ、アイツには伝わらない。まず、アイツが交信されてるって気がつかなきゃいけないんだ。どうするか?

とにかく試してみるしかない。おいらは少しでもアイツが気づくよう、ジッとアイツを見た。アイツは相変わらずおいらをなでながら、ドリスと話しててこっちを見ない。おいらはもっと力を込めてアイツを見た。「下を見るんだ、おいらを見るんだ。」 ダメかもしれないけどアイツと交信しようとした。薬を飲まされるくらいなら、なんでもする。                          (→おいらを見るんだ!)

アイツは、「せめてピッピが水を飲み出すまで待ちたいの。生きようとするサインを確認したいの」とドリスに言っていた。なかなかはっきり言えないみたいだった。もうおいらに「薬を飲ませたくない」とは。なにせドリスは薬を飲ませるのが好きだ。おいらが飲めなくなったら注射までして、からだに入れてたくらいだから、ほんとうに好きなんだろう。「鼻から入れる」とも言ってた。でも、それはアイツが反対した。「見るんだ、おいらを。おいらはここだ。」 もう一度試してみた。その時、とうとうアイツは下を向き、こっちを見た。(つづく)

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