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Vol.00080■冬の思い出−初めての寒さ 2005年7月5日
最近、寒いよな。でも、ずーっと寒いわけじゃなくて、昼間はけっこうあったかい。雨がなくて風さえ吹いてなきゃ、外でゴロゴロできるからぜ〜んぜん文句はないぜ。ポカポカと日向ぼっこしてると、ぼんやりと去年の今頃のことを思い出す。おいらたちはちょうど1年前に香港からニュージーランドに来たんだ。

シンガポール生まれ、香港育ちのおいらにとって、初めて知る冬だった。飛行機に乗るだけで気が遠くなりそうだったのに、降りたら信じられない寒さ。おいらもアニキも声が出ないほど驚いた。アイツらの姿も見えないし、寒いし、知らない連中にクルマに乗せられるし、2匹でガタガタ震えながらどこかに連れて行かれた。

寒くて怖くて水も飲めなかった。ノドはガラガラ、口の中がくっつきそうだったよ。糖尿病でおいらよりもよく水を飲むアニキは、もっと辛かったと思う。クルマが止まったと思ったら、やたらにイヌの声がして数え切れないほど四つ足のにおいがする、とんでもないところだった。検疫所だ。アイツらはまだいない。(←これが検疫所の中。ずらーっとケージが並ぶ。散策中のアニキ)

おいらとアニキは隣同士のケージに入れられ、お互い見えるんだけど一緒にはなれなかった。屋根も壁もある家みたいなところだったけど、先がよく見えないほど広くて、外みたいに硬い床で、恐ろしく寒いところだった。「ここで寝るのか?」 おいらは疲れと空腹と寒さで目が回りそうだった。

小さいベッドがあった。座ると温かかった。電気毛布が敷いてあった。座ってるところはあったかいけど背中は寒くて、どんなにからだを小さくしてもやっぱり寒かった。ベッドを離れて数歩歩けば食べるものがあるんだけど、おいらが食べない肉のにおいがして、腹ペコでも食べたいと思わなかった。それに寒くて、なかなかベッドから出られなかったんだ。大変だったぜ。一晩寝たらアイツらが来た。「やっと家に帰れるニャン♪」と思ったら、そうじゃなかった。(つづく)

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