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Vol.00095■冬の思い出−毛布 2005年8月26日
「毛布を2枚?」
「お願いします。チャッチャはなんとか食べたけれど、まだまだ弱ったままです。少しでも温めてこれ以上体力を落とさないようにしたいんです。」
アイツが検疫所の二本足に、アニキの電気毛布を2枚にするよう頼んでる。

「毛布は1匹1枚なんですけど。問題は食べないことだけです。毛布には1日中電気を通してるから寒いこともないでしょうし、電源も各ケージに一つしかないし。」
と、長靴をはいた検疫所の二本足が言ってる。
「チャッチャは真夏の香港から来て、気温差にまいってるんだと思います。それで食欲もなくなって・・・」
アイツは一生懸命だった。

おいらがガンで死ぬか生きるかのとき、あいつはおいらを湯たんぽの上に寝かせ、毛布やバスタオルを何枚も何枚もかけて温めた。あったかくなったおいらは、死んだように眠った。目が覚めるたびに、「まだ生きてたんだ」と思った。アイツもおいらが目を覚ますたびに喜んだ。部屋の中は明るくて、生まれ変わったみたいに眩しく見えた。

弱った四つ足にとっちゃ、温かくて静かで暗いところで、ぐっすり眠れるのは助かる。検疫所にはそのどれもなかった。寒くて犬がうるさくて、1日中電気がこうこうとついてた。アイツが言うように、アニキが食べないことと寒さには関係があったんだろう。

「1枚も余ってませんか? 電源は空いてる隣のケージから延長コードでつなぐことはできませんか? コードがなければ家から持ってきます。なんとか試してもらえないでしょうか?」
アイツは頭の中で、おいらの看病をしてた時のことを考えてた。
「食べ始めた以上、温かくさえしてあげれば、チャッチャは助かる。」
そう思ってた。
「わかったわ。やってみましょう。」
話がまとまった。アイツらは何度もお礼を言って帰っていった。
            (ときどき子どもも来た。いつ連れて帰るんだ?→)

その後、検疫所の二本足が何度も行ったりきたりしながら、しばらくガタガタやってた。長い紐のようなものを隣のケージから引っ張ってきて、アニキのベッドのあるところつないでたから、2枚目の毛布が入ったんだろう。アニキもおいらも隣のケージは空だ。「ちょっとはあったかくなったか?」と思いながら、おいらもつい、うつらうつら。(つづく)


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