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Vol.0106■どこからどこへ V 2005年10月7日
「ピッピー」 
空のずーっと遠い高いところからかすかに聞こえた、おいらを呼ぶ声。空耳かもしれない。でも、その声を聞いて、自分がピッピと呼ばれてることを思い出した。おいらはピッピ、シロ猫のピッピだ。おいらはいつも、おいらを「ピッピ」と呼ぶ二本足やアニキと一緒にいたんだ。でも、なんで今は1匹なんだ? みんはどこにいるんだっけ?

とことこ歩いてきたおいらは、橋に足をかけるところで立ち止まった。渡るかどうか迷ってたんじゃなくて、もっとなにか思い出せそうだったから立ち止まったんだ。その時、真っ青な空から、なにかデッかいものが落ちてきた。

「あっ!」
と思ったとき、デッかいものがなんだかわかった。よく知ってる、見慣れたものだ。
「でも、なんでこんなにデッかいんだ?」
と思ったとき、それはスッとおいらをすくいあげた。二本足の手だ。しかも、アイツの手だ。おいらはこの手に数え切れないくらい抱かれてる。でも、きょうはとてつもなくデカい。

目を開いていたはずだけど、ぼんやりしてよく見えなかった。1匹で歩いていたはずのおいらは裏返しになって背中を下にしてアイツの腕の中にいた。
「生きてた」
アイツが思ってる。交信してたつもりはないけど、アイツがあまりにもはっきりそう思ったので、おいらにはわかった。そうか、おいらはガンで死にそうだったんだ!
  (目を開けてても見えてなかったことがいっぱい。覚えてないこともいっぱい→)

外はほんのり明るくて、朝みたいだった。だんだん見えてきた目で見ると、パソコンが見える。二本足の服がかかってるのが見える。嗅ぎなれたにおい。家だ。ここはアイツがいつもいる部屋。そうだ、病気になってからおいらはずっとこの部屋にいたんだ。ってことは、あの花畑はどこだったんだ? あの橋はどこに消えたんだ?(つづく)

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