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Vol.0110■どこからどこへ Z 2005年10月25日
「交信じゃない。勝手に頭の中で思ってるだけだ。」
でも、アイツはおいらに話しかけ始めた。ごにょごにょ言ってるのはわかんなかったけど、 「ピッピ、ピッピ」と何回も言ってる。

今までだったら、
「獣医のドリスのところに連れてった方がいいのか?」
「家でぐったりしてるのと、連れてって疲れさせるのとどっちがまし?」
「行ったらイヌがいる?」
「まさか入院とか?」 と、
1人で考えてた。  (獣医に行くのはやだったな。ドリスは時々家に来てくれた→)

おいらはアイツの頭のテレビをのぞいては、
「ドリスのとこに行きそう」
「もっと薬を飲まされるかも」
と、どうなるのかを知った。でも、全然わかんないこともあって、突然ケージに入れられたり、暗いキャビネットの中に寝かされたりした。(あそこはあったかくてよかったけど)

でも、今のアイツは違う。自分で思ってるだけじゃなくて、おいらに話してるんだ。だけど交信できるとは信じてないから、勝手にしゃべって勝手に思ってるだけで、おいらの交信には興味がないらしい。まっ、あの時のおいらの交信なんて消えてたも同然で、アニキすら見ようとしてなかったんだけどさ。

「ピッピ、辛い?どうしてあげるのが一番いい?」
「苦しい?もう生きていたくない?」
「ママは待つよ。待ってみるよ、もう一度ピッピが自分で食べられる日が来るのを。」
「おやすみ。また明日。また会えるよね?」

アイツは1日中おいらに話しかけた。おいらがもう少し元気だったら、さすがにアイツもなにかに気づいたかもしれないけど、その時のおいらはほんとうになにもできなかった。目が見えて、立って歩けるのが信じられないくらいだった。声も出ないし、水も飲まない。アニキのことも忘れて、毛づくろいも忘れた。子どもの部屋にいっぱい転がってる、ヘンなにおいの動かない四つ足みたいだった。

「どうしよう、ピッピ。どうしよう・・・どうしよう・・・どうしよう・・・」 グルグル同じことを考えながら、アイツは涙ぐんでる時もあった。目と足だけが生きてたおいらは、じっとアイツのテレビを見てた。
(つづく)

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