直線上に配置
Vol.0004■ネコさらい 2004年10月12日
「この子とこの子にしよう」と言って、おいらとアニキを一匹ずつ握って立ち上がったアイツ。それだけでも怖いのに、掌を開いてその上でおいらたちを歩かせようとするんだから、もう生きた心地がしなかった。

怖くて腰でも抜ければじっとしていられただろうけど、とにかく下へ降りてママのところへ帰りたい一心で、おいらはもぞもぞ動いた。そのたびに目もくらむような高さから転がり落ちるんじゃないかと、本当に怖かった。その時のおいらはアイツの掌より小さかったんだから、どうしようもない。

いつも堂々としているアニキも、もう一方の掌の上で不安そうだった。下からは急に姿が見えなくなったおいらたちを探す、アネキの声がする。ママも呼んでる。でも、降りられない!ちょうどそこへよく見る顔が、段ボールを持ってきた。おいらたちはマレー人の守衛とこいつが用意してくれた段ボールの中で生まれたので、箱は見慣れていた。

ところが、その箱はおいらたちの箱よりずっと大きかった。「まさか!」と思った瞬間、アイツはおいらとアニキをその中に降ろした。周りをぐるりと紙の壁で囲まれ、唯一空いてる上の四角い空間にアイツと連れ合い、よく見る顔の3つが並んだ。みんな嬉しそうだ。

おいらとアニキはあらん限りの声でママを呼んだ。この高い壁を越えないとママのところに帰れないし、ママも迎えに来れないと思うと、生まれてから一番恐ろしかった。どうするつもりなんだ? その時、箱が底からぐらりと動き、高く高く持ち上げられた。恐怖はピークに達し、「ママに会えなくなる!」と思った。そして、それは本当になってしまった。(つづく)
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