直線上に配置
Vol.0051■ストリートファイター 2005年3月27日
ケンカしておいらの肉球はスパッと横一直線に切れた。切れたところが硬くなってる。いつものフカフカな肉球じゃないけど、普通に歩ける。もう、普段どおりだ。でも、おいらがそう思ってるだけで、周りの四つ足はおいらが弱ってるのをちゃーんと知ってる。ケットウチとかいうのが下がり過ぎちゃって病院に担ぎ込まれて以来、なんとなく弱々しかったアニキまで、「ハァーー」と吹っかけてきたぜ。1ヶ月ぶりかな? 

家の中でもこうだから、外に出るともっとすごいぜ。隣の「光る目」こと、オブリがスッ飛んできてケンカを売る。おいらを見て逃げてく時もあったのに。売られたら買うっきゃない。ケガした翌日、肉球がジンジン痛む時に2匹で頭をくっつけてウーウーやった。アニキには聞こえてるはずだったけど、姿を見せない。そのうちアイツが聞きつけ、いつものようにワーワー言いながら飛んできた。

「ダメじゃない、ピッピ!傷口がくっついてないのにぃ」といいながら、あの長ーい手を伸ばしておいらを抱き上げようとした瞬間、それまで固まっていたオブリが、ダッと駆け出した。おいらも思いっきりカーブを切って後を追った。足が痛いけど、そんなこと考えてられない。相手はオブリ。デカい顔されて(ホントにあいつは顔がデカいんだけど)黙ってられるわけないだろう! 後には両手を伸ばしたままのアイツが、ぽつんと残った。「ピッピぃぃぃ!」と叫んでる。それどころじゃないんだよ。

他にも肉球を引っ掻いたクロトラ、からだのデカいイライジャ、最近越してきた痩せっぽちのジャックまで、おいらにケンカを売る、よっぽど弱って見えんだろう。冗談じゃない。肉球くらいでそんなにナメられてたまるか。おいらは断然受けてたった。あっちの庭、こっちの道端で「ウーウーウーウー」、のどがジーンとしてくるまで唸りあった。時には「ギャオギャオギャオギャオギャオギャオギャオ」とやり合う時もある。

そんなおいらを、アイツは「ストリートファイター」と呼ぶようになった。「ケガしてるのに、この不良爺さん、なんとかなんない? 毎日毎日ケンカ、ケンカで、これじゃあ暴力ネコよ」とプリプリ。でも子ども達は大喜び。「えっ? ピッピってストリートファイターなの? カッコいい♪ どんな技で決めんの? 誰倒した? オブリ?」と、おいらをなでながら根掘り葉掘り。ケンカして誉められるなんて、珍しいこともあるもんだ。(つづく)

(←戦士の休日。ケンカの後はいつもより爆睡だぜ!めいっぱい、日を浴びてさ・・)


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