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Vol.0067■おいらが話せる訳−信号 2005年5月20日
おいらの意思を最低限伝える方法としては、かなりスゴい方法を思いついたと思ったんだけど、アイツはぜんぜん気がつかない。たのむよ〜、気づいてくれよ〜。おいらはあきらめないで続けた。まだ副作用に苦しんでる時だったから、おいらなりにちょっとがんばった。

なにをしたかというと、片目をつぶるんだ。アイツがおいらになにかを聞いたり、頭の中で迷ったりしてる時、おいらにとって大事なことだったら、返事をすることにした。「イエス」なら片目をつぶる。こんなにハッキリやってんのに、アイツは気がつかなかった。

ある日、みんなが寝ちまった後、アイツはおいらをタオルにくるんでその日最後の水を飲ませようとしていた。口の脇からスポイトを入れて、脇の方からノドに流すんだ。おいらは飲んでもいいと思ってたので、大人しくしてた。
 (こうやって飲む。えっ?自分で飲めって?あの時はできなかったんだ→)

飲ませ終えると、「ピッピが今でも生きていてくれるのは、きっとママのためなんだろうね。ありがとう。大好きだよ、ピッピ。本当に大好きだよ」 と言いながら、アイツは涙ぐみ、おいらをギュッと抱いた。その後、頭の中で「もしもニュージーランドに行けることになったら、どうすればいいんだろう?」と考えてた。

「ここまで回復したのに連れて行けなかったら? 誰かにあげる? まさか! でも連れていって死なせてしまったら? ドリスに預ける? まさか! どうしたらいいんだろう。どうしたらいいんだろう。どうしたらいいんだろう・・・」 アイツは考え続けてた。

そのすぐ下でおいらは片目をつぶってみた。「大丈夫さ」というつもりだった。でも、アイツは気がつかないまま、「どうしてあげるのがピッピに一番いいんだろう? 連れて行く? 置いていく? どうしよう」と1人で考えこんでる。おいらはもう1回片目をつぶってみた。「おいおい、病ネコだからって置いてかないでくれよ」と、答えたつもりだった。(つづく)
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