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Vol.00086■冬の思い出−おいらの心配 2005年7月26日
「四つ足は寒いと喰うんだ。でも、ここの寒さはそれどころじゃない」って言ったけど、おいらもアニキも検疫所ではほとんど喰えなかった。冷房がキンキンに効いてた獣医のドリスのとこじゃ喰ってばっかりで、2匹ともすっかり太ったんだけどね。でも、おいらの方がちょっとマシだった。病み上がりとはいえ元々大食いだから、けっこうなんでも喰う。あんまり好きなものじゃなくても、ついつい食べちまう。

アニキは違う。愛想はいいけど、天下一品の頑固者。好きなものがなければ口を開かない。「アニキ、あんまり喰ってないんじゃないか?」 おいらは壁の向こうのアニキのことをちょっとだけ考えてた。というのも、アニキと交信しようとしてもだんだん上手くできなくなってたんだ。

寝てるようでもないし、交信したがってないのとも違う。なんだかぼんやりして、よくわからない。二本足で言えば、テレビがついてるのに映ってるものがよく見えないってとこか? 「もしかして?」と思っているいうちにアイツらがやってきた。子どもも一緒だった。

見たことのないキャットフードをどっさり持ってきて、いろいろ開けてはおいらたちがなにを食べるか見てる。ほとんどは、まずいかまあまあ。時々うまいのもあって、小さい缶だと全部平らげた。あんまり喰ってないから、けっこう食べられた。でも、アニキは喰わない。新しいものより、削り節がいいんだ。でも、削り節じゃ腹はいっぱいにならない。

「食べないねー、チャッチャ」と言いながら、アイツらが残念そうに帰り支度をしてる。きょうも連れて帰らないらしい。ということは、まだここにいなくちゃいけないのか? まいったな。(アニキ、どうした?おいらも寒いよ→)

「ニャー」(アニキと交信できないんだ)
「ニャー」(大丈夫か?このままで)
「ニャー」(寒いよ)
と言ってみたけど、

「また来るわね。いい子にしてて。」
と言って、アイツらは帰って行った。(つづく)

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